展覧会:ORLAN TOUTE(S) ―― オーラン、そのあらゆる貌(かたち)
本展「ORLAN TOUTE(S)」は、アーティスト、オーラン(ORLAN)の多面性を辿るものである。タイトルの「TOUTE(S)」は、移動や前進を示唆するフランス語の慣用句「en avant toute(全速前進)」を想起させると同時に、括弧書きの複数形を用いることで、彼女の作品、そしてその存在自体に展開されるアイデンティティの流動性を強調している。
「Je sommes(我々は「である」※一人称単数と三人称複数を混合した造語)」、「私は、とりわけ、そして可能な限りにおいて、オーランである」、「私は一人の女であり、一人の男である」。これらは、彼女が絶えず自己を再発明するために用いてきた表現である。1960年代初頭の初期作品において、彼女はすでに自らを「ORLAN」と名乗り(「Or-lent」や「Orl’an」を経て)、生物学的継承(1)から脱却し、父系の名を拒絶した。それは家父長制を打ち破る試みであった。さらに1990年代以降、オーランは人間の身体を「時代遅れ」とし、「解剖学はもはや宿命ではない」(2)と断言することで、先天的なものや規範に対する批判的言説を構築した。その極致は、彼女の顔が、意のままに取り外し可能な一種のイメージやマスクと化した「外科的パフォーマンス」において達せられた。
本展では、約60年にわたり制作されてきた自画像(セルフポートレート)の仕事を紹介する。初期の写真作品『Corps sculptures(身体彫刻)』では、光と影の演出によって自身の身体が彫刻へと変容する様を映し出している。また、同時期に撮影された未発表の写真も展示される。これらは、アーティストが「女性」雑誌特有のステレオタイプなポーズをとりながらも、アーティストのアトリエと思われる場所で撮影されており、「高貴な芸術」と大衆的なイメージを混交させている。
1970年代から、オーランは写真にパフォーマンスを導入し、新たな関係を築いた。『MesuRages(メズラージュ/測定)』シリーズでは、「偉大な男性」の名を冠した通りや美術館を、自身の身体を単位とする「ORLAN-corps(オーラン体)」によって測定した。これにより、公共空間におけるジェンダー間の権力関係を可視化したのである。この試みは、静的なバージョンである『Un ORLAN-corps-de-livres(本のオーラン体)』を通じて文学の領域にも及んでいる。ルーヴル美術館の絵画の前で自身の陰毛を露わにする(『À Poil Sans Poils』)、あるいは自身の胸像の複製を用いて接吻や蝋燭を売り歩く(『Baiser de l’Artiste(芸術家の接吻)』/『Sainte ORLAN(聖オーラン)』)。こうした写真とパフォーマンスのインターメディアル(中間媒体)的な性質は、通常は見えないものを露呈させる。その意味で、外科的パフォーマンス後の写真群は、通常は忌避される術後の血腫、腫れ、赤みをあえて晒し出す。写真とパフォーマンスという媒体の流動性は、オーランのアイデンティティの流動性と密接に結びついているのだ。
この考察は、いわば「第二の皮膚」としてのバロック的なドレープ(衣襞)を用いたロールプレイングにも現れている。『Sainte ORLAN(聖オーラン)』において、彼女は対立するものを接近させるバロック的な「と(et)」の論理(3)を探求した。そこでは、伝統的なイコノグラフィー「と」当時の現代テクノロジー(レーザー光線、ビデオ投影など)が共存している。
最後に、本展は『Self-Hybridations(セルフ・ハイブリダイゼーション)』の流れを汲む近作を通じて、このバロック的な「と(et)」の追求の継続を浮き彫りにする。ここでの変容は、コラージュ、デジタル・フォトモンタージュ、そして外科的パフォーマンスの準備段階として自身のイメージと美術史上のアイコンを融合させるモーフィングによって行われる。
また、新たなハイブリダイゼーションの試みも紹介される。ピカソの様式と融合し、涙を流すドラ・マールの肖像を再解釈することで「ミューズ」の役割に批評を加えたり、歴史上の「忘れられた」女性たちの肖像を再訪することで彼女たちへの「フェマージュ(femmage/女性へのオマージュ)」を捧げたりしている。さらに、人工知能を用いて制作されたポスト・ヒューマンなイメージは、テクノロジー革新への展望と人間中心主義への批判の間を揺れ動く。オーランは、リサイクル素材で構成されたロボット(自身の『ORLANoïde』への言及)が、自然界で絶滅危惧種に寄り添う姿をAIによって生成した。
「ORLAN TOUTE(S)」は、絶えず変化し続ける世界において「オーランであること」がいかに変容し、多様であり得るか、その全貌を提示するものである。
文:カンタン・プティ・ディ・デュアル(美術史家)
- Eugenio Viola, « Le Récit », dans ORLAN. Le récit. The narrative, cat. expo. (Saint-Etienne, Musée d’Art moderne de Saint-Etienne Métropole, 26 mai - 26 août 2007), Jörg Bader, Eugenio Viola (dir.), Saint-Etienne, Musée d’Art moderne de Saint-Etienne, 2007, p. 42.
- Julie Estève, Agnès Vannouvong, « Entretien avec ORLAN », dans Beautés monstres : curiosités, prodiges et phénomènes, cat. expo. (Nancy, Musée des Beaux-Arts, 24 octobre 2009 - 25 janvier 2010), Julie Estève, Agnès Vannouvong (dir.), Paris, Somogy, Nancy, Musée des beaux-arts de Nancy, 2009, p. 51.
- Michela Marzano, « Ceci est mon corps : Orlan ou de l’identité incertaine », Cités, n° 21, 2007, pp. 89-101.






















