Claire Chesnier

The wind left in my hand
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Presentation

初螢

ついとそれたる

手風哉 *


Ceysson & Bénétière Tokyo は、2026年3月13日から4月25日まで、フランス人アーティスト、クレア・シェニエ(Claire Chesnier)の日本初個展を開催します。抽象と風景のあいだに位置する彼女のインク作品は、色彩の振動とその無限の変奏によって特徴づけられています。長年にわたり、流動性、触覚性、リズムを通して暁と光の絵画を追求し続ける彼女は、その色調、可変性、揺らぎを形作っています。



クレア・シェニエの作品に触れる者にはまず、静寂が命じられます。この無言の指令は、私たちから声を奪うのと同時に、発言へと導くというパラドクスを内包しています。この意味で、シェニエ の絵画は本質的に「敷居の絵画」だと言えるのです。力強さと繊細な色彩を織り交ぜた作品を前に、私たちはただそれをじっと見つめ、ひっそりした感動に包まれます。その感動はロマン・ロランが「大洋感情」と呼んだものへと、おのずと広がって行きます。そこではフロイトの言うように、神秘の羽があえて切り取られ、エクリチュールの衝動へと転じていきます。私たちの前にあるのは通路、もしくは境界なのです。その境界はあいまいで混沌とし、浸透性があり、土と水、 光と闇が混じり合い、夕暮れと朝焼けとの間で迷っています。だからこそ、見る者を解き放ち、喚起するのです。浸透し合う絵の具が溢れ汗ばみ、無限に広がる色彩によって、私たちはそこに惹き つけられ、和解と動力のようなものへ導かれます。ついたては開かれ、見る者を誘います。


シェニエの絵画は長い間この水平線をたどり、暗めの下部がより明るく軽やかな上部に応じるという、光の密度のバリエーションが繰り広げられていました。初期の雲がかった作品は、イギリス の画家ジョン・コンスタブルの描く空を彷彿とさせます。それはシェニエの作品がロマン派の雰囲気を醸し出しているという意味ではなく、化学でいう水と気体の間、霧の蒸気と細かい水の重さとの間で繊細に交わったものを表現できているからなのです。絵画の幻覚化した水平線として空 気を描くかのように。 


今回展示される作品も、この方向へまた一歩、歩みを進めています。絵画の中で上下の区別はなく、表面全体に色が拡散され、画家の動作がよりよく感じられます。以前の作品に見られた大地 が震えるような線は、おびただしく広がる渦巻きへと移り変わり、暖かいうねりが空間と溶け合っていきます。もしかしたらそこには精霊が身を隠し、光り輝く密度で色づいた煙の中で戯れて いるのかもしれません。いずれにせよ、私たちもその光をたっぷり浴び、ただただ感謝したくなるのです。


シェニエの作品は辛抱強く歩みを進めています。それはでしゃばることのない至高の絵画であり、自明の理のようにじわじわと立ち現れる切れ目であり、満ち足りた存在が密かに切迫する中、ついのぞきたくなるような世界の窓をそっと開けるベールなのです。シェニエの絵画は俳句の 空気感に共鳴し、時間の澱を受け入れるのです。


Yannick Mercoyrol, 2026 

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*小林一茶の俳句より

Featured Artworks
130424
130424
2024
163.0 x 137.0 x 4.0 cm / 64.2 x 53.9 x 1.6 in
201122
201122
2022
168.0 x 136.0 cm / 66.1 x 53.5 in
Visitor information

Location

Ceysson & Bénétière Tokyo

5 Chome-12-6 Ginza, Chuo City
104-0061 Tokyo

+81 (0)3 6260 6228

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Opening Hours

月曜日: 休み
火曜日: 11:00 - 19:00
水曜日: 11:00 - 19:00
木曜日: 11:00 - 19:00
金曜日: 11:00 - 19:00
土曜日: 11:00 - 19:00
日曜日: 休み

Exhibition Dates

2026年3月13日 - 2026年4月25日

Opening reception

2026年3月13日 17:42